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前述のように外国では、国家や企業が人を雇用する際、セキュリティクリアランス(バックグラウンドチェック)と呼ばれる適格性審査を実施します。
これはなぜ必要かというと、国家にしても企業にしても重要機密情報に触れる人間に適格性を担保するシステムがなかったとしたら、組織内が疑心暗鬼になり、情報管理に二重三重の手間が増える上に最悪の場合情報漏れなどで組織が危機的状況に陥る事態が容易に想定されるからです。入り口の段階できちんとリスクマネジメントをしておくべきと考えるのは当然のことです。
もし人間が、嘘をつく能力を持たない、100%正直な生き物だとしたらこうしたことは必要ないかもしれませんが、世界は民族や国境、宗教の対立などで有史以前から紛争が絶えておらず、人間は自分を守るためには嘘をつくという考え方は一般的です。
国家レベルはさておいて民間企業にあてはめた場合でも、就職は収入を得て自分を守るためにあるものと考えれば、人は目的のために嘘をつくということは当たり前に考えておかなければなりません。
2009年にイギリスの雇用調査会社パワーチェックス(PowerChex)社が、5人に1人の応募者のCV(職務経歴書)に嘘や矛盾があると報告し、これが新聞テレビで報道されました。
イギリスといえばルールと秩序を重んじる紳士淑女の国と世界中から評価されている国です。かのイギリスでこのような数字だとすれば、他国は推して知るべしと言ったら言い過ぎでしょうか。
この話には後日談があり、CVの嘘矛盾についての報道があったその翌年に同社が発表したところでは、CVの嘘や矛盾は5%ほど減少したというのです。
明らかに報道の影響と考えられ、CVに偽りを書くことのハードルが上がったのだと思われます。このことからは、嘘や矛盾はその場のシステムや環境の度合いで増減するということが言えるのではないでしょうか。
そこにセキュリティシステムが機能していれば、人は容易に嘘をついたりごまかしたりすることはできないということだと思います。
そして二次的ではありますが、このような経過で採用された社員は、この組織では嘘やごまかしは簡単に通用しないという意識が胸に刻まれ、結果として未然にトラブルを防止することに一役買うことに繋がるのではないかと思います。